ルアーブル戦術研究 借金
暫定的な結論
- 序盤から借金をすると、ゲーム全体でおおむね15〜25程度の資産価値を損なうことになる
- 後半の2手以上の価値を生み出せる手であれば、序盤から借金する価値はある、といえる
- 逆に考えれば、安易な借金は禁物であるともいえる
借金のおさらい
- 借用書を取れるタイミングはルールで定められている
- 食糧供給フェイズで食糧、フランが枯渇し食糧供給ができない場合
- 利息の支払い時に、フランがなく利息が払えない場合
- 借用書を1枚取るときに同時に4フランを受け取る
- 借用書を1枚返すには5フランが必要
- ゲーム終了時に返せなかった借用書1枚につき資産価値-7
- 利息の支払いは、借用書の枚数に関係なく常に1フラン
考察の前提
- 借用書はゲーム終了時までにすべて返しきるものとする
- 3〜4人戦を想定している
借用書および利息の価値
- 借用書を1枚取るごとに資産価値は-1
- 4フランを借りて5フランで返す
- 利息は、借用書を持った状態で利息マスを踏んだ回数に等しいだけの資産価値を減らす
- 大ざっぱな評価としては、ゲームを通して借用書を持っているラウンド数とみなしてもよい
- たとえばラウンド5で借金生活をはじめてラウンド18で借金を返しきるケースなら、おおむね資産価値-14程度とみなしてよい
借金により失われる資産価値の評価
- 借用書の保持ラウンド数を10〜15ラウンド程度と見積もることにする
- 借用書は1度取ると、しばらくは持ち続けることになるケースが経験上多い
- 借用書の保持枚数を5〜10枚程度と見積もる
- 長期保有の場合、それくらいの数になることが経験上多い
- すると、借用書によって失われる資産価値は(上記の議論をふまえて)15〜25程度と考えられる
借金をすることで得ているものは何か?
- 借金をするということは、通常は行うであろう借金を回避するための行動、つまり食糧やフランを稼ぐための「その場しのぎ」的な行動を行う代わりに、将来のために有効な手を選んでいると考えられる
- 食糧行動を捨てて、後半の1〜2手を「購入」していると考えるならば、後半の1手当たりの価値を評価することで借金の有効性を判断できるのではないか?
ゲーム後半の1手あたりの価値評価
- 最も分かりやすいモデルは、鋼鉄の出荷
- 次のような手を考える(9手):炭鉱→製鉄所→炭鉱→製鉄所→炭鉱→製鉄所→炭鉱→コークス工場→製鋼所
- 得られるものは鋼鉄12、コークス4、(コークス工場での)12フラン
- 鋼鉄12個を2手かけてお金に換えるとすると、(12*8+12)/(9+2) = 108/11 = 9.81
- 上記を少し変形してみる
- 次のような手を考える(5手):製鉄所(ブーストなし)→炭鉱→製鉄所(ブーストなし)→炭鉱→コークス工場→製鋼所
- 得られるものは鋼鉄6、コークス5、8フラン
- 鋼鉄を2手かけて豪華客船2隻に換えるとすると、(38+34+8)/8 = 80/8 = 10
- 簡単なモデルで評価しても、ゲーム後半は1手あたり10フラン程度の価値が出せることがわかる
- さきほどの借金の評価は15〜25フラン程度であったことをふまえると、序盤から借金生活に入るならば、ゲーム後半の2手以上の価値を捻出できる程度に有効な手を打っていく必要がある、といえる
- 逆に、それほどの価値を見いだせないのであれば安易に借金をすべきでないともいえる
今回評価していない点
- 借金生活に入ることによる機会損失
- たとえば、「あの建物に入りたいんだけど、いまはお金がないから入れない」とかそういう状況のこと
- 借用書を取る状況になる過程において、銀行に(食糧として)支払ったフランが失わせている資産価値
- こういった点を考慮すると、借金の評価はもう少し厳しめに見積もった方がよいかもしれない