アグリコラ日本選手権 参加報告
参加者の皆様おつかれさまでした。また、参加者43名(定員35名)に配慮いただき抽選を回避してくださった運営のホビージャパン様ありがとうございました。
レギュレーション
以下の通りでした。
- スイスドロー3回戦 (勝ち点は1位7点、2位4点、3位2点、4位1点、5位0点)
- 勝ち点が最も高い人が優勝。勝ち点が同率の場合は、各試合の得点合計が最も高い人が上位に。
- 卓は全部で9卓。上位7卓が5人戦、下位2卓が4人戦 (参加者が43人のため)
- 最初の対戦相手のマッチングのみランダム
- ドラフトあり。席順確定後、
小進歩7枚をまず時計回りでドラフト。次に職業7枚を反時計回りでドラフト。小進歩7枚をまず反時計回りでドラフト。次に職業7枚を時計回りでドラフト。 - ルールの裁定については、原則卓内で解決。もめた場合はジャッジを呼ぶ
1回戦 3番卓
いきなりかりんさん、koniさんと同卓。厳しい戦いですが、勝っていくなら最終的には対戦することになるのだから、早いか遅いかの違いでしょう。
かりんさんは愛人・レンガの柱。koniさんは羊農・ネズミ捕り。わたしは職業訓練士からのキノコ探し・木材配り・ブリキ職人および斧を中心に戦います。中盤わたしがブリキ職人で食いつなぎすぎたせいか、koniさんに家畜プレイで楽をさせる結果になってしまいました。R7あたりで調理場を押さえにいくべきでした。
結果はかりんさん54点、koniさん46点、私が42点。中盤の戦略のミスから3位に落ちる結果となりました。2位は十分狙えたはず。
2回戦 6番卓
面識のある方はいませんでした。
上家が踊り手+曲芸師で、初手ピックが人形使いの私は心の中でグッとガッツポーズ。下家がレンガ混ぜ+レンガの屋根だったため、レンガが異常に高い場になり、結果として2件目の増築が遅れてしまい若干焦りました。途中ネズミ捕りを食らってひとりだけ家族2人で泣きそうになりつつも、なんとか42点でトップ通過。
3回戦 2番卓
アグリコラ部からぜつさん、あまきさん。北陸勢からとのじさん。自分以外の4人中3人が知ってる人でした。
炭焼き、農場管理、毒見役をピックしつつも最後に伸び悩み、43点で3位。1位はあまきさんで53点(網漁師、牛の飼育士、家畜の世話人、毛皮)、2位はとのじさんで46点でした(レンガ職人、レンガの屋根)。
振り返ってみると、色々と細かいところでミスが多かった。
- 代官ボーナスを忘れていた(最後あまきさんに職業出されて、ボーナス3点を失った)
- 飯行動が多すぎた = 食料基盤の構築が遅れた
- 毒見をもう少し早く出して、木材を絞るべきだったのではないか
- 最終ラウンドの初手柵は、ぜつさんが妨害にくる可能性は限りなく低かったのだから木4→柵の順番が正解だったのではないか
R7終了時点ではかなりいけそうな気配だっただけに、そうとうショックの大きい敗戦でした。
最終的に優勝はかりんさん、次点はあまきさん。人狼アグリコラ部の面々がトップ2を独占する結果となりました。おめでとうございます! 上位4名はウィーンで開催される世界選手権への出場権が与えられますが、渡航費は自費なので、果たして何人が出場するのか・・・。世界選手権はアジアからの参加は日本くらいなので、ぜひとも行ってきてほしいなぁと思うのですが。
ちなみに参加者43人のうち、半分くらいは顔見知りでした。まだまだ狭いコミュニティだなぁ、と感じます。
ルアーブル会 at ゲームスペース柏木
ひょんなきっかけから開催されたルアーブル会。最初は @mimikaki と @hillfrog で3人戦を2回くらいやる感じかなー、と思っていたらいつのまにか8人で開催することになってた。Twitter すげぇ。
1戦目
@max747, @kabibouzu, @aokihako で3人戦。
無借金経営でがんばってみるも、商館に行くのが遅すぎたこともあり後半伸び悩む。@aokihako に要所できっちりとよい手を打たれ、終わってみれば自分は213点、彼は300点オーバーと見事に大差をつけられての2位。
後半、ストックにある大量の牛を @aokihako に易々と渡してしまったのがまずかったかなぁと。彼は都合3回くらい出荷していたし。まぁ、それがなくても多分50点くらい差はつけられていそうだけども。
2戦目
@aokihako, @max747, @mullinKAI, @kabibouzu で4人戦。
@aokihako, @max747 が序盤に木造の船を購入し、残り2人は借金生活に入るという流れに。全体的に建築が遅い場で、みんなレンガを積極的に作りにいかない流れだったため、中盤あたりから建築型で進めることに決定。レンガを12個焼いて、工業系、商業系を中心に建物を建てまくる作戦。無借金経営だったこともあり、終盤に大量の資金を調達する必要もなく191点で勝利。
拡張ありでプレイしたけど、拡張版の特別の建物はけっこうクセのあるカードが多くて面白かった。早く日本語版でないかなー。
3戦目
@mullinKAI, @sumamaya, @max747 で3人戦。
序盤に木造の船を買うというのはお約束なのだが、その後全員が借金生活に突入。魚とか誰一人として見向きもしない(笑)。@sumamaya が鉄鋼出荷型、@max747, @mullinKAI が建築型という展開。建物の建設速度がかなり速く、ラウンド10の時点で炭鉱、製鉄所、コークス工場、製鋼所がすべて建っている状態だった。自分は商館に3回通い、最初に出る鋼鉄の船の獲得および銀行建設のイニシアティブを確保。レンガに誰も手を出さない状況だったため、そのまま市役所、銀行(および特別の建物で出てきたギルドホール)を建設してしまう。結果的にこの行動が目立ちすぎてしまい、その後2人がこぞって(私にボーナスを与えまいとして)海運会社による出荷→つくったお金で建物購入、をやられてしまい最終的に自分の点が伸びず、失速。
198点で3位。1位が @sumamaya で207点、2位が @mullinKAI で205点という僅差。接戦だけに、負けが悔やまれる試合でもあった。中盤のミスで商館を手放す羽目になってしまったのがおそらく敗着。
建設が早い割には全体的にロースコアなゲームだったかな。たぶん、中盤〜終盤にかけて全員が建築に向かったせいだと思う。その流れを決定づけたのは先の自分のプレイなんだけどもw
総括
- 成績は1勝2敗とまずまずだったが、最後の負けは余計だった。慢心はダメだね、やはり。
- @aokihako さんが相当の打ち手だった。いやはや、世の中上には上がいるものだ、と思い知らされた。3人戦で300点はすごい。その後の3戦目でも勝利していたようです。素晴らしい。
- 拡張カードおもしろいので、日本語版が早く出ればいいなぁと思います。出たら買います。
- 僕がインストした人たちも、みんなうまくなってきたなぁ、と。負けるにしても、勝敗に絡める点差になってきた気がする。
アグリコラ日本選手権!!
来ましたね! しかも世界選手権の予選も兼ねているとのこと。アグリコラファンには喜ばしいことです。
6月22日・23日開催 HobbyJAPAN ゲームフェスティバル2013
一抹の不安は、やはりルールの運用でしょうか・・・。あと、定員が35名であぶれたら抽選というのも気になります。私の観測範囲内でも、ヘビーにやってる人は35人を軽く超えてますし。
あまり気張って抽選に落ちてしまって気合いだけが空回り・・・なんてことも十分予想できますし、気楽に構えるのがよいのでしょうかね。
ルアーブル戦術研究 借金(2)
前回は借金の価値について考察しましたが、今回は、借金をして勝つ人、負ける人のパターンを整理してみます。
負ける借金プレイのパターン
借金をしているのに、船を造らない
これは典型的な負けパターンです。船がないと、どうしても食糧を取るための手数が必要になってきます。しかし、借金をしているため、手持ちの資金もほとんどなく、踏めるアクションが制限されます。結果として、食糧を稼いでいるだけでゲームが終わってしまうという最悪の事態になりかねません。
船を造るか、もしくは麦、牛を他のプレイヤーより増やすなどして1手で大量の食糧を稼げる体勢をつくらないといけません。一時的に借金が増えようとも、こういった食糧安定供給のための基盤作りを優先させるべきです。目先の食糧に惑わされないように。
建物を売却してしまう
ルアーブルにおける借金の利点は、「自分の所有している建物は売却する必要はない」ことです。建物を売却すると資産価値の半分が失われてしまいますので、高額な建物であればあるほどこれは賢明な選択とはいえません。また、ある程度人気のある建物は他のプレイヤーが建物を使用することによる収入が期待できますので、売却はできるだけ避けるべきでしょう。
一方で、重要な局面では売却をためらわないこともまた大事です。よくあるのは、他のプレイヤーの建物を使いたいが使用料を払えない、という局面でしょう。このときも、「資産価値がなるべく低い建物」「あまり利用されない建物」を優先すべきです。
簡易裁判所で借用書を返す
簡易裁判所で借用書を返す場合の最大効率は、借用書を3枚以上所有している場合の2枚返しで、このときの行動の価値は10フランを得ることに等しくなります。しかしながら、終盤の局面においては海運会社による出荷の方が得点効率が良いことの方が圧倒的に多いのです。つまり、出荷の体勢を作れていない時点でゲームに勝つのが難しい状況になってしまっている、といえます。実際、借金をしても得点を伸ばす人は海運会社で大量の資金を得て、まとめて借金を返済するというパターンがとても多いです。
ただし、船需要の少ない5人プレイの場合は例外で、簡易裁判所に通うのは効率的な手段である可能性もあります(この点、私自身は十分な検証ができていません)。
勝利に近づく借金プレイのパターン
食糧がない状況でも、前倒して重要な建物に入る
代表的なパターンはやはり「商館」でしょう。鋼鉄の船争奪戦をする中で、商館に先んじて入るメリットはきわめて大きいです。4人戦の例でいっても、鋼鉄の船を造ってしまえば、それ以降の食糧供給は毎ラウンド-5です。鋼鉄の船があるとないとでは、その後の食糧にかける手数が2〜3手は違ってくるでしょう。こういった重要な建物に入るタイミングが訪れた場合は、借金をしてでも飛び込む意味があります。
借金に借金を重ねることをためらわない
ルアーブルの借金は、利息が1で固定なこともあり、いったん借金モードになってしまうと借用書が1枚でも2枚でもたいして状況は変わりません。これを利用して、あとで海運会社でまとめてお金をつくるんだからいいや、と割り切って、他の人が食糧を稼ぐのに手数を使っている隙を突いて美味しい(=効率の良い)手をどんどん狙っていくのです。借用書10枚くらい、鉄鋼を7個出荷すれば帳消しです。なーんだ、それならいつもより製鉄所に2回、炭鉱に1回多く通うだけで済むじゃないですか!
他にもパターンがあるかもしれません。今回のまとめは個人的なプレイ経験によるところが大きいので、まだまだ考察の余地があるでしょう。
ルアーブル戦術研究 借金
暫定的な結論
- 序盤から借金をすると、ゲーム全体でおおむね15〜25程度の資産価値を損なうことになる
- 後半の2手以上の価値を生み出せる手であれば、序盤から借金する価値はある、といえる
- 逆に考えれば、安易な借金は禁物であるともいえる
借金のおさらい
- 借用書を取れるタイミングはルールで定められている
- 食糧供給フェイズで食糧、フランが枯渇し食糧供給ができない場合
- 利息の支払い時に、フランがなく利息が払えない場合
- 借用書を1枚取るときに同時に4フランを受け取る
- 借用書を1枚返すには5フランが必要
- ゲーム終了時に返せなかった借用書1枚につき資産価値-7
- 利息の支払いは、借用書の枚数に関係なく常に1フラン
考察の前提
- 借用書はゲーム終了時までにすべて返しきるものとする
- 3〜4人戦を想定している
借用書および利息の価値
- 借用書を1枚取るごとに資産価値は-1
- 4フランを借りて5フランで返す
- 利息は、借用書を持った状態で利息マスを踏んだ回数に等しいだけの資産価値を減らす
- 大ざっぱな評価としては、ゲームを通して借用書を持っているラウンド数とみなしてもよい
- たとえばラウンド5で借金生活をはじめてラウンド18で借金を返しきるケースなら、おおむね資産価値-14程度とみなしてよい
借金により失われる資産価値の評価
- 借用書の保持ラウンド数を10〜15ラウンド程度と見積もることにする
- 借用書は1度取ると、しばらくは持ち続けることになるケースが経験上多い
- 借用書の保持枚数を5〜10枚程度と見積もる
- 長期保有の場合、それくらいの数になることが経験上多い
- すると、借用書によって失われる資産価値は(上記の議論をふまえて)15〜25程度と考えられる
借金をすることで得ているものは何か?
- 借金をするということは、通常は行うであろう借金を回避するための行動、つまり食糧やフランを稼ぐための「その場しのぎ」的な行動を行う代わりに、将来のために有効な手を選んでいると考えられる
- 食糧行動を捨てて、後半の1〜2手を「購入」していると考えるならば、後半の1手当たりの価値を評価することで借金の有効性を判断できるのではないか?
ゲーム後半の1手あたりの価値評価
- 最も分かりやすいモデルは、鋼鉄の出荷
- 次のような手を考える(9手):炭鉱→製鉄所→炭鉱→製鉄所→炭鉱→製鉄所→炭鉱→コークス工場→製鋼所
- 得られるものは鋼鉄12、コークス4、(コークス工場での)12フラン
- 鋼鉄12個を2手かけてお金に換えるとすると、(12*8+12)/(9+2) = 108/11 = 9.81
- 上記を少し変形してみる
- 次のような手を考える(5手):製鉄所(ブーストなし)→炭鉱→製鉄所(ブーストなし)→炭鉱→コークス工場→製鋼所
- 得られるものは鋼鉄6、コークス5、8フラン
- 鋼鉄を2手かけて豪華客船2隻に換えるとすると、(38+34+8)/8 = 80/8 = 10
- 簡単なモデルで評価しても、ゲーム後半は1手あたり10フラン程度の価値が出せることがわかる
- さきほどの借金の評価は15〜25フラン程度であったことをふまえると、序盤から借金生活に入るならば、ゲーム後半の2手以上の価値を捻出できる程度に有効な手を打っていく必要がある、といえる
- 逆に、それほどの価値を見いだせないのであれば安易に借金をすべきでないともいえる
今回評価していない点
- 借金生活に入ることによる機会損失
- たとえば、「あの建物に入りたいんだけど、いまはお金がないから入れない」とかそういう状況のこと
- 借用書を取る状況になる過程において、銀行に(食糧として)支払ったフランが失わせている資産価値
- こういった点を考慮すると、借金の評価はもう少し厳しめに見積もった方がよいかもしれない
ルアーブル戦術研究 木造の船の購入
木造の船
- 購入価格 14フラン
- 資産価値 序盤は2フラン
購入か建設か
- 建設には当然ながら造船所が必要
- ラウンド4〜6くらいに最初の造船所が建つか、街の建物になるケースが多い
- 最速で船を建造できる前提ならば、購入のメリットは薄い
- 造船所が建設計画エリア上のどこにいるか?
- 上の方にいて、かつ造船所の上方にある建物群のコストが低ければ早期に造船所が建設される可能性は高い
- 逆に、下の方にいる場合や、造船所の上に食肉処理場などの鉄を使用する建物がある場合は登場が遅くなると考えた方がよい
- 造船所が利用可能になったとして、最初に船を建造できるか?
- 上家次第。上家の建築志向、造船所の評価、鉄の保有数などを考慮すべき
- しかし、下家が木材5、石炭1をそろえている状況でわざわざ造船所を作りにいってくれるか? という疑問もある
- 街の建物として落とすことを考えるなら、ラウンド4の終了時に落とす前提で最も有利なのは3〜4人戦ならばゲーム開始時のスタートプレイヤー(∵最初に建設計画エリアから街へ建物が落ちるとき、次のラウンドの一番手はスタートプレイヤー)
- 造船所が建設計画エリア上のどこにいるか?
- 購入は不確定要素を減らしてくれる
- 14フランさえ用意できればよい
購入への道筋
- 建設コストが安く、資産価値が高い建物を狙って建設する
- 製材所(資産価値14、粘土1鉄1)、炭焼き場(資産価値8、粘土1)、漁場(資産価値10、木材1粘土1)
- これらを売却して14フランをつくる
- 木工所に木材を投げ込んで5〜7フランをつくる
- 建設計画エリアの配置は重要
- たとえば、製材所と炭焼き場が縦に並んでいる場合などは、容易に14フランをつくることができる可能性がある
- 例) 粘土2→中央市場(鉄+魚)→食糧供給→建設会社で2フラン支払って製材所と炭焼き場を建設→両方売却して11フラン。手元の3フランとあわせて14フラン
船を購入することによる影響
- 食糧事情の緩和
- 自分が食糧を取りに行かなくてもよくなる反面、食糧がプールされやすくなり他家を利することにもなる
- 資金の枯渇
- 購入直後は、一時的に何もできなくなる
- 中央市場に入れるよう、1フランは手元に残しておけるとよいかもしれない
2つめ以降の船について
- 2つめの木造の船までもを購入するのはやりすぎ感がある
- ただし、木材の入手が難しい場、造船所の登場が遅い場、順番的に船の建造をしようとすると待たされそうな場合など、特別な状況においては購入を考えるのも面白いかもしれない
- 木造でない船の購入について
- コストを考えると、現実的ではない
補遺
- 5人戦においてはこの限りではない
- 船そのものを建造しないという選択肢も充分あり得るため